A6063の曲げ加工は可能?難しい理由と割れを防ぐ方法を解説

A6063は曲げ加工が可能だがやや難易度が高い
A6063を曲げることそのものは可能ですが、A5052のような非熱処理系のアルミ材と比べると、曲げ加工の難易度はやや高くなる傾向があります。
これは、A6063が熱処理によって強度を高めるタイプのアルミ合金であり、強度が上がるほど延性が下がって割れが発生しやすくなるためです。
また、A6063はサッシやフレームなどの押出形材として使われることが多いため、断面の形状によっても加工の難しさが変わります。
ここからは、A6063という材質そのものの特徴と、A5052・A6061と比較したときの曲げやすさの違いについて見ていきましょう。
A6063は熱処理によって強度が高められているアルミ材
A6063は、アルミニウムを主成分とし、マグネシウムとシリコンを添加した6000系のアルミ合金で、熱処理によって強度を高めることができる材質です。
この熱処理による強度向上こそが、A6063の曲げ加工を難しくしている大きな要因のひとつといえます。
T5やT6といった調質によって強度が高まる一方で延性が低下し、曲げるときに割れが発生しやすくなることが理由です。
強度を優先して硬い調質を選べば製品は丈夫になりますが、その分だけ作業中に割れるリスクは高まります。
反対に、延性を優先してやわらかい調質を選べば曲げやすくなる一方、製品としての強度は下がってしまいます。
このように、A6063では強度と曲げやすさがトレードオフの関係にあることを踏まえて、調質を選ぶことが大切です。
A5052・A6061と比較したときの曲げ加工性
A5052・A6061・A6063を曲げ加工性の観点で比較すると、A5052がもっとも曲げやすく、A6061は強度に優れ、A6063はその中間に位置します。
曲げやすさを優先するのであればA5052を、押出形材としての形状の自由度や意匠性を優先するのであればA6063を選ぶのが基本的な考え方です。
これは、A5052が非熱処理系の合金で延性に優れる一方、A6061は熱処理によって高い強度が得られる代わりに曲げやすさが犠牲になりやすいためです。
A6063はこの両者の中間的な性質を持ち、ある程度の強度を保ちながら、押出形材としての加工性や表面の美しさにも優れています。
用途に応じてどの材質を選ぶかを検討することが、割れのない仕上がりにつながります。

A6063を割らずに曲げ加工する方法
A6063であっても、加工の条件を適切に設定すれば、割れのリスクは十分に抑えられます。
曲げR・板厚・調質・曲げ方向という4つの項目を適切に管理することが、A6063を割らずに仕上げるための基本です。
これらの条件は、それぞれ異なる形で曲げの外側にかかる応力やひずみに影響するため、どれか一つでも適切でないと、割れが起こりやすくなります。
ここからは、これら4つの項目について、それぞれ具体的な考え方を解説します。
曲げRは板厚の2~3倍以上を目安に設定する
A6063の割れを防ぐには、曲げRを板厚の2〜3倍以上を目安に設定することが基本です。曲げRを十分に大きく取ることが、もっとも手軽に割れのリスクを下げる方法といえます。
理由は、曲げRが小さいほど曲げ外側の一部分に引張応力が集中し、そこを起点として割れが発生しやすくなるためです。
板厚の2〜3倍以上という目安を確保できれば、応力が広い範囲に分散され、割れのリスクを抑えやすくなります。
ただし、この「2〜3倍」という数値はあくまで中間的な調質を想定した目安であり、実際に適正なRは調質や断面の形状によって変わってくる点には注意が必要です。
事前に試験片を用いた曲げ試験を行い、割れの有無を確認しながら条件を調整しましょう。
板厚が厚いほど曲げ加工の難易度が高くなる
A6063は、板厚が厚くなるほど加工の難易度が高くなる傾向があります。
厚板を曲げる場合は、薄板以上に曲げRや設備の能力に配慮する必要があります。板厚が増すほど変形に必要な力が大きくなるだけでなく、曲げ外側に発生するひずみも大きくなり、割れやスプリングバックが発生しやすくなるためです。
スプリングバックとは、曲げ加工後に材料がもとの形状へわずかに戻ってしまう現象のことで、厚板ほど戻りの量も管理しづらくなります。
厚板のA6063を曲げる際は、曲げRを大きめに設定するとともに、必要な加工力を確保できる設備を選ぶことが大切です。
板厚に応じて条件を見直すことが、安定した仕上がりにつながります。
T5よりも延性が高い調質を選ぶ
A6063の加工では、T5よりもさらに延性の高い調質を選ぶことで、割れのリスクを軽減できます。
強度を最優先しない用途であれば、T5よりもやわらかいO材(焼きなまし材)などを選ぶほうが、曲げ加工は成功しやすいといえるでしょう。
T5やT6といった調質は人工時効によって強度を高めている分、伸びが小さくなり、曲げる際に割れやすい性質を持っていることが理由です。
曲げやすさを優先したい場合は、可能な範囲で伸びの大きいO材などを選択し、曲げた後に人工時効処理を行って必要な強度を補うという方法も選択肢のひとつといえるでしょう。
あらかじめ曲げてから熱処理で硬さを与えることで、割れを抑えつつ最終的な強度も確保しやすくなります。このように、調質の選び方によって、A6063の曲げやすさは大きく変わるのです。
曲げ方向は押出方向や断面形状を考慮して設定する
A6063を曲げる際は、押出方向や断面形状を考慮して曲げ方向を設定することが大切です。
A6063は押出形材として使用されることが多く、断面の形状や押出方向によって変形のしやすさが異なります。同じA6063でも、曲げる向きによって割れやすさが大きく変わることを理解しておきましょう。
複雑な断面形状を持つ形材では、形状によって応力が集中しやすい箇所が変わり、同じ曲げRや板厚であっても曲げる向きによって割れのリスクが変化します。
A6063の割れや変形を防ぐためには、曲げの方向や使用する治具を、形状に合わせてあらかじめ設定しておくことが必要です。
応力が集中しやすい箇所を加工前に見極めておくことが、安定した仕上がりにつながります。
A6063を使用した小池製作所の製作事例
小池製作所では、A6063を使用した曲げ加工の製作実績が数多くございます。ここでは、その一部を紹介します。
- 通信機器用三脚製作

お客様より、図面のない製品を同一形状で再製作してほしいとのご依頼をいただきました。通信機器を乗せるための三脚で、高さの調整や回転ができる機構を備えている製品です。
従来の製作会社がすでに廃業していたことから、小池製作所で設計から機械加工、組立までを一貫して対応し、納品いたしました。
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- アルミ製曲がり導波管製作

無線通信機器メーカー様より、アルミニウム製の導波管製作のご依頼をいただきました。アルミ製の管を曲げ加工し、フランジ部分をろう付けで接合して仕上げています。
素材にはA5056・A6063のアルミニウム合金を使用し、機械加工からろう付け、鍍金までを小池製作所で対応いたしました。
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その他、A6063の曲げ加工をはじめ多数の製作事例がございます。ぜひご覧ください。
小池製作所の製作事例はこちら>

A6063の曲げ加工は小池製作所にお任せください
A6063の曲げ加工では、調質や板厚、形状といった条件によって適した方法が変わります。曲げRの設定や曲げ方向の見極めなど、材質の特性を踏まえた細やかな配慮が、割れのない仕上がりにつながるのです。
小池製作所では、こうした条件を一つひとつ確認しながら、素材の特性をいかした最適な加工方法をご提案しています。
長年培ってきた金属加工の知見と設備をもとに、A6063のような熱処理系のアルミ合金にも柔軟な対応が可能です。
設計から試作、量産まで一貫して対応できる体制を整えており、加工方法や材質選びに関するご相談にも対応しております。
A6063の曲げ加工をご検討中の方は、ぜひ小池製作所までご相談ください。
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