A7075のプレス加工はできる?難しい理由や加工時の注意点・対策を解説

A7075がプレス加工しにくい理由
A7075は、超々ジュラルミンとも呼ばれる高力アルミ合金です。高い強度を持つ一方で、調質によっては伸びが小さく、プレス加工では割れやスプリングバックに注意する必要があります。
プレス成形は材料を変形させて金型の形状に成形する方法のため、変形しにくい材料ほど条件の緻密な調整が大切です。
同じ板厚や形状でも、一般的なアルミ材ではプレス加工できる形状が、A7075では難しい場合があります。
特に注意したいのが、曲げや成形時に発生する割れと、加工後に形状が戻るスプリングバックです。
これらはA7075の高い強度や調質などが関係して発生するため、A7075のプレス加工では材料の状態に応じた方法や条件を検討する必要があります。
ここからは、A7075のプレス加工で起こりやすい割れとスプリングバックについて、それぞれの原因を見ていきましょう。
高強度・低延性で割れが発生しやすい
プレスで曲げるときは、曲げ部の外側が引き伸ばされ、その伸びが材料の成形できる範囲を超えると割れが発生しやすくなります。
A7075は高い強度を持つ一方、T6やT651などの高強度な調質では伸びが小さくなるため、強い曲げや大きな変形を伴うプレス加工では割れに注意が必要です。
特に、A7075は調質によってプレス加工性が大きく異なります。O材はT6やT651と比べて軟らかく、比較的成形しやすいため、O材で成形した後に熱処理を行って強度を高める工程が採用されることも少なくありません。
一方、T6やT651では冷間での成形性が低く、複雑な形状や大きな変形を伴うプレス加工ほど難易度が高くなります。
そのため、A7075をプレス加工する際は、材質だけでなく調質も確認することが大切です。図面でA7075とだけ指定されていて調質が明確でない場合は、加工前に必要な調質を確認しておく必要があります。
スプリングバックが大きく寸法精度を確保しにくい
スプリングバックとは、プレスで曲げた材料から力を取り除いた後に、材料が元の形状へ戻ろうとする現象です。
一般的に、板厚が薄い場合や高強度の材料ではスプリングバックが大きくなりやすいため、A7075のプレス加工でも注意しなければなりません。
A7075のような高強度アルミ合金では、材料の強度や弾性的な性質に加え、板厚や調質、曲げRなどの条件によってスプリングバックの大きさが変わります。
そのため、プレス加工後に狙った曲げ角度や寸法からずれ、製品の組み付けなどに影響がある点に注意が必要です。
特に複数の曲げを含むプレス品では、一つの曲げ角度のずれが全体の寸法に影響をおよぼすことがあります。
A7075のプレス加工は、スプリングバックを考慮して金型や製品寸法を設定し、必要に応じて試作で確認することが大切です。
小池製作所では、A7075の調質や製品の形状に応じたプレス加工に対応しております。実績豊富な小池製作所にぜひご相談ください。
A7075はどのようなプレス加工なら可能か
A7075は高強度であるため、プレス加工の種類によって加工のしやすさが異なります。主な加工方法ごとの可否と注意点は、以下のとおりです。
| プレス加工の種類 | A7075での対応可否 | 理由 |
|---|---|---|
| 曲げ加工 | △ | 曲げRや圧延方向、調質などの条件を適切に設定すれば加工できるが、割れやスプリングバックが発生しやすい。 |
| 打ち抜き加工 | ○ | 板材の穴あけや外形抜きは比較的対応しやすいが、板厚や金型条件によってはバリや変形に注意が必要。 |
| 深絞り加工 | × | 延性が低いため大きく成形すると割れが発生しやすく、一般的にA7075は適していない。 |
A7075のプレス加工において、曲げ加工は条件を適切に設定すれば可能ですが、割れやスプリングバックへの対策が必要です。
一方、打ち抜き加工は比較的対応しやすいものの、板厚や金型条件によって仕上がりに影響が生じる場合があります。
深絞り加工は大きな変形を伴うため、A7075では割れが発生しやすく、一般的には不向きとされる方法です。
このように、A7075のプレス加工は、方法によって難易度が異なります。A7075をプレス加工する際は、製品の形状や要求される精度に応じて適した方法と条件を選ぶことが大切です。

A7075でプレス加工を行う際の注意点と対策
A7075のプレス加工においては、材料の割れとスプリングバックの両方を考慮する必要があります。
割れを抑えるには曲げ部への負担を小さくすること、スプリングバックによる寸法のずれを抑えるには金型や寸法を適切に設定することが大切なポイントです。
また、調質や板厚だけでなく、曲げRや圧延方向などもA7075のプレス加工性に関係します。
ここからは、割れを防ぐための材料や形状の設定と、スプリングバックを考慮した金型・寸法の設計について解説します。
割れを防ぐために曲げRや圧延方向を適切に設定する
プレス加工による曲げでは、曲げRが小さくなるほど曲げ部の外側が大きく引き伸ばされるため、割れが発生しやすくなります。
特にA7075-T6やT651のように成形性が低い調質では、無理に小さなRで曲げることを避け、板厚や調質に応じて十分な曲げRを設定することが大切です。
A7075の最小曲げRは板厚や調質などによって異なるため、材料メーカーなどのデータを確認したうえで設定してください。
また、圧延によって材料には方向による性質の違いが生じるため、プレス加工時には圧延方向も考慮しなければなりません。
さらに、潤滑状態や加工速度、パンチ・ダイの形状なども結果に影響します。
A7075のプレス加工では、材質や調質、板厚、製品形状に応じて条件を調整し、割れが発生しない条件を試作などで確認することが大切です。
スプリングバックを考慮して金型・寸法を設計する
A7075のプレス加工では、スプリングバックによって狙った角度や寸法からずれる場合があります。
そのため、実際に発生する戻り量を考慮して、あらかじめ金型の角度や寸法を補正することが大切です。
代表的なものとしては「オーバーベンド」が挙げられます。仕上がり角度よりも深く曲げ、スプリングバックによる戻りを考慮して狙った角度に近づける方法です。
また、「ボトミング」や「コイニング」など、材料を金型へ強く押し付けることでスプリングバックを抑える方法もあります。
ただし、どの方法が適しているかは材料の調質や板厚、製品形状、必要な精度などによって異なるため、条件に応じて検討や調整が必要です。
スプリングバックの大きさを事前に正確に見積もることが難しい場合は、試作により実際の戻り量を確認するとよいでしょう。
試作結果を元に金型の角度や寸法を補正し、再度加工して確認すれば、A7075のプレス加工における寸法精度を高められます。
A7075でプレス加工が難しい場合の対応方法
A7075のプレス加工では、曲げRや圧延方向、金型などを見直しても、製品形状や要求精度によっては難しい場合があります。
そのような場合は、条件や金型の調整だけでなく、方法そのものを見直すことも対応方法の一つです。
A7075の高い強度を維持する必要がある場合と、加工性やコストなどを重視する場合では、適した対応が異なります。
A7075のまま製品を製作する場合は、切削加工や鍛造など、プレス加工とは異なる方法を検討しましょう。一方、必要な強度などの要求を満たせる場合は、A5052やA6061など、より加工しやすい材質への変更も考えられます。
ここでは、A7075のプレス加工が難しい場合に、方法や材質をどのように見直すかを解説します。
加工方法を見直し、必要に応じて材質の変更を検討する
A7075のプレス加工で必要な形状を作ることが難しい場合は、まず製品の形状や必要な精度、強度、数量、コストなどを踏まえて、別の方法を検討します。
A7075の高強度を維持したい場面で候補となるのは、切削加工や鍛造などです。切削加工は材料を大きく変形させずに形状を作れるため、プレス加工で問題となる曲げによる割れやスプリングバックを避けながら、A7075の特性を活かせる場合があります。
また鍛造についても、製品の形状や要求特性に応じて、加熱して成形性を高める方法も検討可能です。
それでも加工性やコストなどの課題を解決できない場合には、材質の変更も視野に入れましょう。加工性を重視したいならA5052、強度と加工性のバランスを重視したいならA6061などが候補に挙げられます。
A5052はA7075と比較して成形性に優れ、板金加工などにも使われる代表的な材料です。A6061はA5052より高い強度が求められる場合の選択肢になりますが、調質によって加工性が変わるため、用途に応じて確認しましょう。
A7075のプレス加工を続けるか、加工方法や材質を変更するかは、総合的な視点から判断することが大切です。

A7075のプレス加工なら小池製作所にご相談ください
A7075は高い強度を持つ一方、プレス加工では割れやスプリングバックなどが生じやすいため、製品の形状や要求精度に応じた条件や工法を選ぶことが大切です。
小池製作所では、A7075のプレス加工について、製品の用途や形状、必要な強度などを踏まえて、適した加工方法をご提案します。
試作から量産まで対応しておりますので、まずは加工の可否や仕上がりを確認したうえで、量産に向けた加工方法をご提案することも可能です。
また、プレス加工だけにとどまらず、必要に応じてその他の方法や材質の変更も含めて検討し、お客様のご要望にお応えいたします。
A7075のプレス加工でお困りの方や、加工方法・材質の選定から相談したい方は、ぜひ小池製作所へお問い合わせください。
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