アルミのロウ付けとハンダ付けの特徴や違いをわかりやすく解説します
アルミのロウ付けとハンダ付けの特徴
アルミのロウ付けとハンダ付けは、難易度が高い加工方法です。しかしながら、その特徴を活かしてさまざまな部品や製品にこの加工方法が用いられています。
では、ロウ付けとハンダ付けにはどのような特徴があるのか見ていきましょう。
- 気密性が高い
- 母材の外観を保つことができる
- 薄板・微細な部品の接合が可能
これらの特徴について詳しくご説明し、どのような部品や製品に用いられているのかを解説します。
また、コラムの後半では、なぜ加工が難しいと言われているのかについても解説しています。
アルミのロウ付けが難しいと言われる理由を知りたい方はこちら
気密性が高い
ロウ付けとハンダ付けは、母材の隙間に溶かしたロウ材を流し込んで接合する「ロウ接」という加工方法です。ロウ材が隙間を埋めることで、気密性が高くなります。
▲アルミのロウ付け(左)、アルミのハンダ付け(右)
ただし、加工する際に接合部に歪みが生じると、気密性が低下してしまうことがあります。特に、アルミはロウ接が難しい材料ですので、気密性が求められる場合においては歪みに注意しなければなりません。
小池製作所は、ロウ付けやハンダ付けの豊富な実績があり、気密性が求められる難しいご依頼にも対応可能です。また、加工後の水密検査や電波測定なども弊社で実施しておりますので、安定した品質をお約束します。
母材の外観を保つことができる
美観や精度が求められる場合、部材の接合にはロウ付けやハンダ付けが最適です。接合方法として溶接もありますが、溶接もまたアルミは難しい上に溶接ビードが目立ちます。したがって、美観が求められる場合は溶接ビードの除去をしなければなりません。
一方でロウ付けやハンダ付けは、溶接よりも接合部分が目立ちにくく、仕上がりが綺麗になります。さらに、母材を溶かしたり傷つけることなく接着でき、寸法精度への影響も少ないのが大きなメリットです。ただし、アルミのように熱の影響を受けやすい母材の場合は、ロウ付けやハンダ付けであっても熱影響を考慮しなければなりません。
薄板・微細な部品の接合が可能
ロウ付けは、ぬれによってロウが隙間に行き渡ります。ぬれとは、固体表面上に液体が付着する現象を表す言葉です。ぬれにより、母材の隙間に溶けたロウが行き渡ることで、見えにくい部分や、溶接では届かない部分にも容易に接合できます。
また、ロウ付け・ハンダ付けは、母材を溶かさずに接合できるという特徴から、微細部品や薄板の接合を可能とします。もし、こういった部品の接合をする場合は、母材を溶かす必要のある溶接よりも、ロウ付けやハンダ付けの方が適しているといえるでしょう。
弊社では、板厚1mmのアルミをロウ付けした事例がございます。
密閉構造のフロートのため、加工後は漏れ試験を行い、5回で成功しました。高難易度の加工のため対応可能な加工会社を見つけるのに苦労されていた中、弊社にご相談いただき、満足のいく加工ができたことで、お客様には大変喜んでいただけました。
ロウ付けとハンダ付けの違い
ロウ付けとハンダ付けは、どちらもロウ接に属する接合方法ですが、明確な違いがあります。大きな違いは融点ですが、その他にもいくつか違いがあるので見ていきましょう。
接合方法 | ロウ付け | ハンダ付け |
---|---|---|
融点 | 450℃以上 | 450℃未満 |
ロウ材 | ロウを用いる | 融点の低いはハンダ(軟ロウ)を用いる |
道具 | ガスバーナーや工業炉を用いる | ハンダごてを用いる |
接合部分の状態 | 母材とロウ材の間に合金が生成される | ハンダが接着剤のような役割を果たす |
接合部の強度 | ハンダ付けより強固に接合される | ロウ付けよりも強固ではない |
ロウ付けやハンダ付けがされる製品例
ロウ付けやハンダ付けは、さまざまな金属製の部品・製品に用いられる加工方法です。
アルミの場合は、以下のような部品・製品にロウ付け・ハンダ付けが行われます。
- ヒートシンク
- 導波管
- 冷却管
- トランスジューサ
- ハウジング
- フロート
アルミ(アルミニウム)は金属材料の中でも軽いことから、部品や製品の軽量化が進む近年では、産業分野において幅広く使用されています。さらに、熱伝導率や比熱が高く、導電性が良いという特性を持っているため、ヒートシンクや導波管などにもアルミが用いられます。
こういった部品や製品の設計上、接合が必要とされる場合に、ロウ付けもしくはハンダ付けがされます。
アルミのロウ付けが難しいと言われる理由
アルミはロウ付けが難しいため、対応していない加工会社もあります。そのため、ロウ付けに対応している会社でも、アルミの接合が可能かどうかを依頼時に確認された方がよいでしょう。
では、なぜアルミのロウ付けは難しいのでしょうか。
ロウ付けは、母材よりも低い融点のロウを溶かして母材同士を接合します。しかし、アルミは融点が約660℃と低く、ロウ材の融点と温度が近いため、接合時に母材のアルミを溶かしてしまうおそれがあるのです。
※高温により溶けたアルミ
こういった理由から、アルミのロウ付けは難しいと言われています。
難しいアルミのロウ付けやハンダ付けは小池製作所にご相談ください
小池製作所では、アルミのロウ付けやハンダ付けに対応しております。一つひとつ丁寧に仕上げ、求められる精度・品質で仕上げます。
先ほども、厚さ1mmのアルミフロートをロウ付けした事例をご紹介しましたが、そういった繊細さが求められるご依頼でも、まずは一度ご相談ください。また、今回ご紹介した事例以外にも、さまざまな要件に対応した事例を掲載している記事もございますので、そちらもあわせて読んでいただくと、より弊社の技術について知っていただけると思います。
アルミのロウ付けやハンダ付け、その他加工についてお問い合わせはこちら
アルミのロウ付けやハンダ付けは対応可能な会社が限られるため、なかなか見つからず困っていたというお客様もこれまでに多くいらっしゃいました。
小池製作所では、以下の材料のロウ付け・ハンダ付けが可能です。
- ロウ付け・・・アルミ、銅、真鍮
- ハンダ付け・・・アルミ、真鍮
弊社は、60年以上にわたり金属加工に取り組んでおり、その技術はベテランの職人から若手へと継承され、高い水準で蓄積されています。だからこそ、他社ではお断りされるような難易度の高いご依頼にも、積極的に取り組むことができるのです。
難しいアルミのロウ付け・ハンダ付けの他、金属加工でお悩みありましたら一度ご相談ください。
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