アルミのロウ付けの強度はどのくらい?アルミの特性やロウ付けについて詳しく解説
アルミのロウ付けの強度はどのくらい?
アルミのロウ付けと聞くと、接合強度が低い印象をお持ちの方もいるかもしれません。ロウ付けは、母材と同等もしくはそれ以上の強度が得られます。そのため、適切に接合できれば、接合部分が無闇に破断するリスクは低く抑えられるでしょう。
ただし、ロウ付けによる接合部分は必ずしも強度が高くなるわけではありません。使用される母材の種類や、接合部の形状などによって強度が異なります。具体的な強度を調べたい場合は、引張試験などで接合部分の強度評価をしましょう。以下では、ロウ付けとその他の接合方法との強度の違いを詳しくご説明しますので、アルミの接合を検討されている方は参考になさってください。
その他の接合方法(溶接・はんだ付け)との強度の違い
金属同士を接合する主な方法には、ロウ付けのほかに溶接やはんだ付けがありますが、接合部分の強度はそれぞれ異なります。基本的に溶接は強度が高く、はんだ付けは低いです。はんだ付けに関しては、溶接やロウ付けとは異なり、強い力が加わると破断する可能性も高いです。
▼接合部分の強度
溶接>ロウ付け>はんだ付け
溶接は温度が高く、母材を溶かして接合します。失敗すると母材自体の強度が損なわれたり、変形したりする恐れがあります。特にアルミは溶接が難しい材料であり、加工に高いスキルが必要です。ただし、アルミの接合に高い強度が求められる場合は、溶接が適しています。一方、はんだ付けは溶接やロウ付けに比べて、より低い温度で接合します。はんだ付けは接合強度はそれほど高くありませんが、母材への熱の影響を抑えることができます。そのため、高い強度が求められず、母材への熱影響を極力減らしたい場合には、はんだ付けが適しています。
各接合方法の特徴を把握した上で、最適な方法を選択しましょう。小池製作所では、アルミの溶接・ロウ付け・はんだ付けに対応しています。ご依頼内容をお伺いした上で、最適な接合方法をご提案することも可能です。
アルミニウムの特徴・特性・強度について
アルミの強度は、種類によって異なります。亜鉛やマグネシウムなどを添加して合金化したものは純アルミ系よりも強度が高いです。航空機部品に使用されている超々ジュラルミンもアルミ合金と聞けば、高強度だと想像できる方も多いでしょう。
▼強度(引張り強さ)の目安
7000系(Al-Zn-Mg)>2000系(Al-Cu)>4000系(Al-Si)>6000系(Al-Mg-Si)>5000系(Al-Mg)>3000系(Al-Mn)>1000系(純アルミ)
※あくまでも強度の目安です。合金番号によって強度は異なります。
その他の主な特徴・特性は、以下のとおりです。
- 比重が鉄の約1/3であり軽い
- 酸化被膜を形成しやすく耐食性が高い
- 延性に優れており加工が容易
- 熱伝導率・電気伝導率が高い
- 非磁性である
- 光の反射率が高い
- リサイクルが容易
材料選定をされている方は、アルミの特性を理解しておくと役立つでしょう。
そもそもロウ付けとは?
ロウ付けについて、接合方法の一種として知ってはいるものの、具体的にはよく知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか。ロウ付けとは、ロウ材と呼ばれる金属を溶かし、接合面に流し込むことで、母材同士を接着することができる技術です。溶かした金属が母材同士の隙間に浸透し、接着剤の役割を果たします。アルミに限らず、ステンレス鋼や銅といったさまざまな材料の接合に用いられます。
アルミの場合はロウ付けが難しいため、対応可能な加工会社も限られています。もし加工会社が見つからず、お困りでしたら小池製作所へご相談ください。なおアルミのロウ付けが難しい理由について詳しくはこちらでご説明しております。
ロウ付けのメリット・デメリット
ロウ付けにはメリットもデメリットもあります。どの接合方法を選ぶか選択する際には、メリット・デメリットを把握しておいた方がよいでしょう。
<メリット>
- 母材を溶かさずに接合できる
- 複数箇所を同時に接着できる
- 複雑な形状も接合しやすい
- 再接合や取り外しができる
<デメリット>
- 熟練の技術が必要
- 母材が熱の影響を受ける可能性がある
- 溶接に比べて接合強度が弱い
ロウ付けのメリットとデメリットを比較して、デメリットの方が大きいと感じる場合は他の接合方法を検討した方がよいでしょう。
ロウ付けの種類
ロウ付けには、主に以下の種類があります。
- 手作業によるロウ付け
- 真空ロウ付け
手作業によるロウ付けは、母材を加熱炉に入れる必要がないため、目視で良否を確認できたり、複数箇所を接合できたりするメリットがあります。部品数が少量の場合に適している方法といえるでしょう。
真空ロウ付けは、真空の加熱炉の中で作業が行われます。雰囲気ガスでは還元が難しい材料に対してこの方法が用いられます。大型炉を使用すれば大量生産にも対応できます。
小池製作所では、手作業によるロウ付けを行っています。職人が丁寧にロウ付けを行い、少量多品種に対応いたします。
ロウ付けに用いられる道具・工具
弊社が対応している手作業によるロウ付けで用いられる道具・工具には、以下のようなものがあります。
- ロウ材
- 耐熱レンガ・セラミックボード
- ガスバーナー
- フラックス
母材同士を接合するためには、接着剤の役割を果たすロウ材が必須です。銀・銅・アルミ・金などのさまざまな材質の種類があります。接合する部品が小さい場合は、耐熱レンガやセラミックボードなどの上で作業をします。
ロウ付けする際は、ロウを溶かす必要があるため、ガスバーナーを使用します。また、加熱する前にフラックスと呼ばれる材料を添加し、母材表面の酸化物を除去することもあります。アルミも酸化しやすい材料なので、こういったフラックスなどを用いて対策を行います。
アルミをロウ付けするときの注意点
アルミをロウ付けするときには、アルミの融点に注意をする必要があります。ロウ付けは、母材よりも低い融点のロウ材を使用します。そのため、ロウ付けは母材を溶かさずにロウ材を溶かして接着することができるのです。しかし、アルミは融点が低くロウ材と近いため、母材のアルミが溶けたり歪んだりしてしまうリスクがあるのです。
このような熱の影響による歪みは精度にも影響します。小池製作所では、歪みを補正したり、溶けないよう管理を徹底することで品質のよいアルミのロウ付けを実現しています。
アルミのロウ付けの強度に関するお問い合わせはこちら
アルミのロウ付けの強度について、不安がある方や違う接合方法についても知りたいという方は、小池製作所へご相談ください。弊社では、アルミのロウ付けのほか、溶接とはんだ付けが可能です。また、金属加工全般に対応しており、設計から組立まで一貫して対応しております。加工ごとに外注先を探すとなると大変な労力がかかりますが、小池製作所では一度のご依頼で設計から組立まで対応可能です。
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