アルミに裏波溶接はできる?溶接の方法や注意点、実例もあわせてご紹介します
アルミに裏波溶接はできる?
アルミの裏波溶接は可能とされていますが、アルミは熱伝導率が高いことや酸化皮膜が発生しやすいといった特徴があり、溶接の難易度自体が高いため、裏波溶接を行うことができるかどうかは技術者や会社によって異なります。
アルミ溶接に一般的に用いられるTIG溶接は、アークを精密に制御できるため裏波溶接にも対応できますが、高度な技術を必要とし、溶け込み量・速度・電流などを適切に調整しなければなりません。
そのように難しい加工方法ですが、加工が完了した製品については外観の品質を高め、接合部の強度を向上させることができます。
アルミの裏波溶接について
アルミの裏波溶接はどのようなときに行われるのでしょうか。
アルミは鉄に比べて材質が柔らかく、熱伝導率が高いという特徴があります。そのため熱が急速に拡散する上に、溶接時の冷却速度が速くなります。このような急激な冷却が接合部に応力を集中させ、製品がひび割れを起こす場合があります。そこで裏波を出すことで、接合部にかかる応力を分散させることでひび割れのリスクを低減します。
また、冷却に伴い残留応力が発生しますが、裏波を出すことでこの残留応力を低減させる効果があります。さらには、溶け込みが深くなるため、母材との融合が向上します。これにより、接合部の強度が増し、割れにくくなります。
アルミの溶接が難しい理由
アルミ溶接が鉄などの他の金属と比べて難しいとされている理由は、アルミの持つ材質の特性にあります。
アルミは熱伝導率が高く、融点が低いため、接合部だけでなく周辺部も過熱してしまいます。すると母材が変形する原因になります。加えてアルミは酸化しやすく、空気に触れるとすぐに酸化皮膜を形成するため、酸化皮膜の発生を防止しなければなりません。
このように、アルミの持つ繊細な特性によって、溶接が難しいとされています。
アルミを裏波溶接するために必要な技術
アルミを裏波溶接するためには、アルミに加わる熱を適切に制御し、アルミの裏側にまで熱を伝える必要があります。過剰な熱を加えた場合はアルミの溶けすぎや変形の原因となりますが、熱が不十分だと裏波が形成されません。
また、溶接速度を適切に制御する技術も重要です。速度が速すぎると裏波が形成されず、遅すぎると溶けすぎや変形の原因となります。 いずれにしても、高い技術が求められる作業であるため、作業可能な技術者は限られています。
裏波溶接とは?
裏波溶接とは、裏側にビードを形成する方法です。表面から溶接を行い、その熱によって裏側まで溶かし込み、ビードを出すことで、まるで裏側から溶接したかのような仕上がりにすることが可能です。
裏波溶接での加工が必要になる製品としては、食品加工機器や医療機器など清潔さが求められる製品が挙げられます。これらの製品に関しては、接合部分に液溜まりや異物混入が起こると、衛生上の問題が発生する可能性があります。そこで、裏波を出すことで接合部分に段差や隙間を作らず、表面を滑らかにして、液溜まりや異物混入を防止します。
配管や構造物など、高強度が求められる部分では、裏波を出すことによって接合部の強度を向上させ、応力を分散し、割れや変形を防ぎます。
裏波溶接の方法と注意点について
裏波溶接の方法と注意点についてご説明します。
- 接合する部分に、溶け込みが十分に行われるようにV字やU字などの開先を加工します
- 接合する部品を仮付けし、位置を固定します
- 溶接を行います。この際、裏側にビードが形成されるように、必要な条件を調整します
- 溶接後、品質検査を行います
裏波溶接では、条件設定や溶接の順序、開先形状を適切に設定するよう注意が必要です。これらが適切でない場合、溶接不良が発生してしまう可能性があるからです。
小池製作所では、各工程において適切な手順で丁寧に仕上げます。溶接にお困りの方はお気軽にお問い合わせください。
普通の溶接との違い
一般的な溶接(融接)は、接合する材料の表面同士を溶かし合わせ、一体化させる方法です。一方、裏波溶接は、溶接面の裏側にも溶け込みを生じさせ、ビードを形成させる点が大きな特徴です。つまり、表面から溶接を行いながら、裏側まで熱を伝えて溶かし、一体化させるのです。
主な相違点をまとめると以下のようになります。
項目 | 裏波溶接 | 裏波溶接 |
---|---|---|
溶け込み範囲 | 表面のみ | 表面と裏面 |
ビードの形成 | 表面にのみビードが形成 | 表面と裏面の両方にビードが形成 |
目的 | 接合や固定のため | 接合や固定に加えて、強度向上や液溜まり、異物混入を防ぐため |
難易度 | 比較的容易 | 高度な技術が必要 |
コスト | 比較的安価 | 高価 |
適用範囲 | 幅広い | 特定の用途に特化 |
製品の要求される品質、強度、コストなどを総合的に判断して、最適な方法を選択するとよいでしょう。
小池製作所はアルミの溶接が得意
小池製作所はアルミ溶接のエキスパートが揃っています。今回紹介した裏波溶接をはじめとした難易度の高い溶接に充分に対応できる技術力を有しており、弊社の所在地である東京都大田区から全国に至るまで、数多くのご依頼をいただいています。
ご依頼については小ロットから承ります。また、設計はもちろん、材料の選定から検査までを自社で行っており、コストを抑えながらも高品質な製品をお届けしております。
ぜひお気軽にご相談ください。
アルミの裏波溶接のご依頼は小池製作所へ
アルミの裏波溶接については、技術的な難易度が高く、対応できる技術者が限られています。小池製作所には、このような難易度の高い溶接に対応できる技術者が揃っていることが大きな強みです。
今回ご紹介したアルミの裏波溶接以外にも、ろう付け、はんだ付けをはじめとする幅広い技術を用いた加工に対応しております。アルミ・銅・鉄・ステンレス・真鍮などの金属加工は、ぜひ小池製作所にお任せください。高品質な仕上がりをご提供いたします。
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