アルミの溶接部の強度を調べるための試験方法や接合不良の対策をご紹介します

アルミ 強度 ポールと板金の溶接品

アルミを溶接したときの強度は?

アルミを溶接したときの溶接部の強度は、母材のアルミ以上になるとは限りません。溶接は熱を加えて金属を溶かし、固めるというプロセスで金属同士を接合します。この過程で母材の組織が変化したり、不純物が混入したりすることで、溶接部の強度が母材と異なる場合があります。
一般的に、適切な溶接方法や材料を選定し、加工条件を厳守することで、母材と同等以上の強度を得ることも可能です。

溶接方法やアルミの種類、そして加工後の処理方法など、複数の要因によって強度は大きく影響を受けます

強度の試験方法

金属加工品の強度の試験方法はいくつかありますが、代表的なものを4つ紹介します。

継手引張試験 引張強度、降伏点、伸び率などを測定し、全体的な強度を評価する。最も基本的な強度評価方法。
衝撃試験 粘り強さを評価する。低温化での脆性破壊の発生のしやすさや疲労強度を調べることに向いている方法。
硬さ試験 硬さを測定し、熱影響部(HAZ:Heat Affect Zone)における硬化の程度を評価する。
非破壊検査 品質を損ねることなく内部欠陥(溶接欠陥、未溶、スラグ巻き込みなど)を検出する。

 

どの試験方法を用いるかは、評価したい性質や、製品の用途によって異なりますが、試験結果が規格や基準の要求を満たしているか確認することで、溶接部の品質を保証します。
溶接部の強度については、方法、溶加材、母材の種類、前処理、後処理など、多くの要因によって影響を受けます。試験の結果も重要ながら、実際の使用時に得られるデータや実績も重要になってくると言えるでしょう。

小池製作所では、溶接における長年の経験と多数の納品実績があります。アルミの溶接部の強度に不安のある方はお気軽にご相談ください。

強度を重視する場合のアルミの選び方

強度を重視する場合のアルミの選び方をご紹介します。アルミにはさまざまな種類がありますが、中には溶接性に優れたものもあります。したがって、材料選定の際は溶接性に優れたアルミを選ぶと良いでしょう。
ここでは、溶接時に用いられることの多い種類や強度についてご紹介します。

  • A5052・A5083
    A5000番台の合金は、アルミニウムにマグネシウムを添加した合金です。強度が高く、汎用性が高いため実際の加工・溶接において重宝されています。
    特にA5052とA5083は溶接性に優れ、強度の高さを併せ持つことから溶接に使用しやすい材料と言えます。
  • A7204・A7003
    A7000番台のアルミ合金は、 亜鉛とマグネシウムを添加したものです。溶接向きとされていますが、強い力が加わったときに耐えられるよう、熱処理によって強度を向上させることが重要です。

アルミを溶接したときに強度が低下する理由

アルミを溶接したときに、強度が低下することがあります。なぜ低下してしまうのか、その理由をご説明します。

アルミは融点が約660℃と低い素材です。熱によって溶けやすいため、溶接をするときに注意しないと溶け落ちてしまいます。熱は強度に影響を与えるため十分に注意しなければなりません。
さらに、アルミはブローホールが生じやすい点も注意が必要です。ブローホールは、金属内に発生する小さな空洞のことで、これは溶接部分の強度を大きく低下させます。

アルミの溶接時に、このような不良が起きて強度が低下しないか不安な方も多いでしょう。小池製作所では、アルミ溶接の資格を持つスタッフが品質よく仕上げます。強度や仕上がりに不安がある方は、まずは一度弊社へご相談ください。

アルミ溶接部の強度が低下しないための対策方法

アルミ溶接部の強度が低下しないようにするには、どのような対策が求められるのでしょうか。
先述したように、強度が低下する主な原因は熱とブローホールです。ここでは、それらへの対策方法の一部をご紹介します。なお、ブローホールはさまざまな要因が考えられますが、ここでは空気混入の対策方法をご紹介します。

  • 入熱量の管理を徹底する
    基本的に、入熱量が適正な範囲で小さいほど強度は保たれ、熱影響部の劣化も少なくなります。入熱量が大きいと強度が低下するため、管理を徹底するようにしましょう。ただし、入熱量が小さすぎると融合不良が起こりますので注意が必要です。
  • 空気混入に気をつける
    空気混入は、ガス流量・ノズル高さ・トーチ角度が適正でない場合、設備不良、母材表面の汚れ、水分の吸着やサビ、風の影響が考えられます。それぞれ問題ないかを確認した上で溶接を行うようにしましょう。

これらの対策を取っても、アルミは溶接が難しいため高い技術が求められます。溶接が難しい理由については、別のコラムでもご紹介しております。

アルミの溶接が難しい理由についてはこちら>

アルミの溶接加工会社を選ぶときのポイント

アルミの溶接加工会社を選ぶ際のポイントを紹介します。

専門性と実績

  • アルミの溶接実績が豊富で、さまざまな形状や厚みのアルミ製品に対応できる経験とノウハウを持っている
  • TIG溶接やアーク溶接など、アルミの溶接に対応しており、最適な方法を選択することができる

設備と対応範囲

  • 適した設備を保有し、アルミ溶接に対応している
  • 表面処理や熱処理など、溶接に付帯する加工に対応できる

技術者のスキル

  • 資格を取得しており、高品質な作業を行える

品質

  • 品質について相談が可能。また、安定した品質で仕上げることができる

その他

  • 納期に対して柔軟性があり、短納期に対応可能
  • 費用対効果が高く、予算内で収まる。もしくは予算の相談ができる
  • 製品納品後のアフターサービス体制が充実している
  • 設計図面などの機密情報の取り扱いが適切に行われている

小池製作所では上記の条件に対応できる体制が整っています。

溶接事例をご紹介します

こちらはお客様の展示会にて使用した、アルミの板金とポールの溶接品です。

アルミ 強度 ポールと板金の溶接品

アルミの溶接は、対応できる会社が限られるほど難しいものですが、弊社にはアルミ溶接の資格(アルミニウム溶接技能者)を保有する社員が在籍しておりますので、難易度の高いご依頼もお任せください。

関東だけでなく全国から溶接のご依頼をいただいており、今回ご紹介した事例以外にも、多くの実績があります。
新規のお客様も大歓迎です。ぜひ一度お問い合わせください。

アルミ溶接のご依頼についてより詳しく解説したコラムもありますので、そちらもご覧ください。

アルミ溶接強度のご相談は小池製作所へ

アルミ溶接の強度や、その他金属加工のご相談は小池製作所へお任せください。
本コラムを読み、アルミ溶接の強度や強度低下の対策について、さらに詳細な相談を希望される方もいらっしゃるのではないでしょうか。

弊社ではアルミの溶接に加え、金属加工全般にも対応しておりますので、幅広くご相談いただけます。弊社へのご相談は、お電話やメール、オンライン上のビデオ会議等が可能です。
まずは一度、下記お問い合わせ先へご連絡ください。ご依頼内容にあわせて、担当者が柔軟に対応いたします。

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