板金加工で使われるアルミ材質を比較!種類・特徴・選び方を解説

板金加工でよく使われるアルミ材質と主な用途
アルミの板金加工に使われる材質は、「1000番台から7000番台」までの合金分類に分けられます。
これは主成分として添加される合金元素による分類で、純アルミ系の1000番台をはじめ、銅を加えた2000番台、マグネシウムを加えた5000番台、シリコンとマグネシウムを加えた6000番台など、それぞれ異なる特性を持っています。
番台によって強度・加工性・耐食性などが異なるため、板金加工では製品の用途や加工方法に合わせて適切な材質を選ぶことが大切です。
ここからは、板金加工でよく使われる代表的なアルミ材と、それぞれの特徴や用途を紹介します。
A5052・A5083:バランスがよく板金加工で主力となる材質
板金加工で最も使用頻度が高い材質は、5000番台のA5052といえます。
A5052が主力として選ばれる理由は、曲げ加工のしやすさ・耐食性・中程度の強度という3つの性能がバランスよく備わっていることに加え、板材として市場に多く流通しており入手性がよく、コストも安定しているためです。
曲げても割れにくく、薄板の折り曲げ部品にも適しているため、アルミの板金製品で幅広く採用されています。
同じ5000番台のA5083は、A5052よりもマグネシウムを多く含み、非熱処理系合金の中でも最高クラスの強度と優れた耐食性を備えた材質です。
ただし、加工性はA5052に劣り、価格も高くなる傾向があるため、汎用的な板金加工よりも、特に高い強度と耐食性が求められる用途で採用されています。用途としては、船舶や海洋構造物などが代表的です。
A1050・A1100:加工性に優れた純アルミ系
A1050やA1100は、1000番台に分類される純アルミ系の材質です。アルミの純度が99%以上と高く、ほかの金属がほとんど含まれていないため、板金加工での曲げ加工性に優れ、アルマイトなどの表面処理にも適しています。
一方で、純度が高いぶん強度は低いため、強度が必要な構造部材には向いていません。
こうした特性から、A1050やA1100は加工性や見た目を重視するアルミの板金製品に多く使われます。
具体的には、装飾用途や、電気を通しやすい性質を活かした電気部品、深い曲げや複雑な折り曲げが必要な曲げ加工性重視の製品などです。
強度をあまり必要とせず、加工しやすさや表面の仕上がりを優先したい場合に適した材質といえます。
A2017・A6061:高強度が求められる用途に適した材質
A2017やA6061は、高い強度が求められる用途に適しています。
A2017は銅を加えたジュラルミンと呼ばれる合金で高い強度を持ち、A6061は熱処理によって強度を高められる合金です。
ただし、どちらも強度が高い代わりに板金加工での曲げ加工性はA5052より劣ります。特に強度を高める熱処理を施した状態では、板金の曲げ加工の条件によっては割れ(クラック)が発生する可能性があるため注意が必要です。
これらのアルミは、その強度の高さを活かして、主に機械部品や構造材として使われます。一方で、曲げを多用するアルミの板金用途では、割れやすさや加工性の低さといった制約があるため、用途が限定的です。
板金加工でA2017やA6061を用いる場合は、曲げの有無や加工方法をよく検討したうえで、材質を選定することが求められます。

板金加工におけるアルミ材質の選び方と注意点
アルミの板金加工では、材質選びを「強度・加工性・コスト・耐食性」という4つの軸で総合的に判断しなければなりません。なぜなら、これらすべてに優れた万能な材質は存在せず、性能にはそれぞれ一長一短があるためです。
強度に優れた材質は加工性が低くなる傾向があり、加工性に優れた純アルミ系は強度が低いなど、板金材料それぞれの性能はトレードオフの関係にあります。
そのため、アルミの板金加工では「製品に必要な特性は何か」を明確にしたうえで、適した材質を選ぶことが大切です。
ここからは、板金加工におけるアルミ材質の具体的な選び方と、材質選定時に注意すべきポイントについて解説します。
強度・加工性・コストのバランスで選ぶ
アルミの材質は、強度を優先すると加工性が低くなる傾向があり、逆に加工性を重視すると強度が不足するのが一般的です。
たとえば、高強度のA2017は曲げ加工性が低く、加工条件によっては割れが発生する可能性があります。
一方、加工しやすい純アルミ系のA1050は強度が低いため、強度が求められる構造部材などでは不向きです。
また、材質によってコストにも違いがあります。高強度なアルミ合金や特殊な性能を持つ材質ほど価格が高くなる傾向があるため、必要以上の性能を求めると大幅なコスト増につながりかねません。
さらに、屋外や海沿いなど腐食しやすい環境では、耐食性も考慮して材質を選ぶことが重要です。例えば、A5052やA5083は耐食性に優れているため、このような環境で使用される板金製品にも適しています。
こうした点を踏まえ、アルミの板金加工では「製品に必要な性能は何か」を明確にしたうえで、強度・加工性・コストに加え、使用環境も考慮して材質を選びましょう。その中でもA5052は、強度・加工性・耐食性・コストのバランスに優れていることから、板金加工で幅広く採用されています。
割れやすさ・熱処理の状態・表面処理との相性に注意する
アルミの板金加工では、板厚や曲げRだけでなく、材質の熱処理状態によっても硬さや加工性、割れやすさが変化することに注意が必要です。
同じアルミでも、O材は焼きなましによって軟化した状態で、一般的に曲げ加工に適しています。
H材は加工硬化によって強度を高めた状態で、板金加工で多く使われる材質では、強度と加工性のバランスが取りやすい状態です。
一方、T材は熱処理によって高強度化された状態で、曲げ加工の条件によっては割れが発生する可能性があります。
そのため、材質名だけでなく、熱処理状態も確認したうえで選定することが大切です。
また、アルミは材質によって、アルマイト・塗装・化成処理などの表面処理後の仕上がりに違いが出る点にも注意しなければなりません。
たとえばアルマイト処理では、アルミ合金の種類によって発色性や色ムラなど、外観品質に影響する場合があります。
そのため、表面処理を施す製品では、求める仕上がりや用途に応じて、表面処理との相性も考慮した材質選びを行うことが、高い品質を確保するためには必要です。
小池製作所が手掛けたアルミの板金加工事例
本記事で紹介した代表的な材質以外にも、用途に応じて最適な材質を選定することで、多様な製品の製作が可能です。
ここからは小池製作所が手掛けたアルミの板金加工事例を紹介します。
- A5056 アルミ板金製作(計測器メーカー様のご依頼)

板厚2mmのA5056を使用し、板金加工を行った事例です。数量は50個を承りました。
- A5056 アルミ板厚2mmの箱製作(船舶部品メーカー様のご依頼)

板厚2mmのA5056を使用した箱型製品を製作した事例です。板金加工から溶接、めっき・塗装までを一貫して対応いたしました。
板金加工を業者に依頼する際のポイント
アルミの板金加工を金属加工業者に依頼する際は、使用する環境や必要な強度、加工方法、数量といった情報を事前に整理して伝えることが大切です。
たとえば、屋外で使用するのか、どの程度の強度が必要なのか、曲げや溶接が必要か、何個製作するのかといった条件によって、板金加工に適したアルミ材質や加工方法は変わります。
そのため、初期段階で必要な情報を共有することが、品質や加工精度を安定させるためには欠かせません。
これらの情報が曖昧なまま依頼すると、材質の選定や見積りの精度が下がり、後から仕様変更や追加対応が発生する可能性があります。
そのため、使用環境や必要な性能などを正しく共有することが、板金加工を依頼するうえで重要なポイントです。
なお、実績のある板金業者であれば、用途や必要な性能を伝えることで、材質の選定も含めて初期段階から提案してもらえる場合があります。
判断に迷う場合は、まず条件を整理したうえで加工業者に相談しながら進めることで、希望通りの仕上がりに近づけられるでしょう。

アルミ材の板金加工は実績豊富な小池製作所へご依頼ください
アルミ材の板金加工では、材質によって加工性や強度、耐食性、コストなどが異なるため、用途に応じて適切な材質を選ぶ必要があります。しかし、数あるアルミ材の中からどれを選べばよいか、判断に迷われる方も少なくありません。
小池製作所では、A5052をはじめとする各種アルミ材の板金加工実績を豊富に有しており、材質選びの段階からご相談いただけます。
用途や求められる性能はもちろん、加工方法まで見据えたうえで、最適な材質と工程のご提案が可能です。
材質が決まっていない段階でも構いません。アルミ材の板金加工をご検討の際は、まずはお気軽に小池製作所へご相談ください。
【お問い合わせ】
電話 03-3731-9953(8:30~17:00 ※土日祝を除く)
お問い合わせフォーム


