銅と真鍮のロウ付けの難易度は高い?理由と加工時の注意点を解説

銅と真鍮のロウ付けが難しい理由
銅と真鍮のロウ付けが難しい理由として、以下の3つが挙げられます。
- 真鍮の亜鉛成分が加熱で蒸発しやすい
- 銅と真鍮の熱膨張率や熱伝導率が異なる
- 酸化被膜の性質が異なり、除去が難しい
銅と真鍮は、熱伝導率や酸化被膜のような物理的性質・化学的性質が異なる材料です。材料特性が大きく異なる材料間では、ロウ材の濡れやすさや母材の膨張度合いが異なるため、接合不良が生じやすくなります。
銅と真鍮をロウ付けで接合したい場合は、上記の点を理解したうえで、必要であれば技術力のある業者へ依頼することも検討してみましょう。
小池製作所には、60年以上の金属加工の実績があります。異種金属の接合、複雑で微細な形状の製品の接合などにも対応できる知識と経験がございますので、銅と真鍮のロウ付けに関するお悩みも、ぜひお問い合わせください。
真鍮の亜鉛成分が加熱で蒸発しやすい
真鍮に含まれる亜鉛成分は、加熱によって蒸発しやすいという特性があります。亜鉛が蒸発するとガスが発生し、これが空洞(ブローホール)の原因になります。ブローホールは接合部の強度を低下させるので、結果的に接合不良につながる点に注意が必要です。
ブローホールを防止する方法はあるものの、事前準備には手間がかかります。また、接合不良が発生するたびに修正に時間が取られ、生産性が落ちる可能性もあります。
なお、ブローホールの発生を抑制するには高度な技術が必要であり、どのような業者でも対応できるわけではありません。
銅と真鍮の熱膨張率や熱伝導率が異なる
銅と真鍮では、熱膨張率や熱伝導性といった熱的特性が異なるため、ロウ付けが難しくなります。一般的に銅よりも真鍮のほうが熱膨張率が高く、熱伝導率は銅のほうが高いです。
熱膨張率が高い材料ほど、温度変化に応じて寸法が変化しやすくなります。異なる熱膨張率の母材をロウ付けすると、加熱時や冷却時に歪みや割れが生じる可能性が高いです。
また、熱伝導率は銅のほうが高いため、真鍮よりも速く熱が伝わります。その結果、真鍮側がなかなか目的の温度に達しにくく、ロウ材の広がりが悪くなることがあります。
銅と真鍮をロウ付けする際は、双方の特性の違いを把握したうえで加熱や冷却の方法を工夫することが必要です。
酸化被膜の性質が異なり、除去が難しい
銅と真鍮で酸化被膜の性質が異なっていることも、ロウ付けが難しい理由の一つです。
酸化被膜がある状態でロウ付けしても、ロウ材が接合したい箇所に均一に広がりにくく、接合不良が生じやすくなります。接合不良を防ぐには、ロウ付け前にしっかりと酸化被膜を除去することが大切です。
銅と真鍮は、どちらも酸化被膜を形成しやすい材料ですが、その特徴は異なります。銅は酸化銅を形成し、真鍮は主に酸化亜鉛を生じます。いずれもロウ付け前には除去や酸化抑制の処理が必要です。サンドペーパーでの研磨、化学処理やフラックスの塗布などを併用し、ロウ付けしやすい状態を作ることが大切です。
銅と真鍮のロウ付け加工をする際の注意点
銅と真鍮のロウ付け加工をする際は、以下の点に注意する必要があります。
- ロウ材の濡れ性を高めるために均一に加熱する
- 作業中の換気と保護対策を徹底する
前述したとおり、銅と真鍮は特性が異なる素材です。二つの素材が均等に温度を上げられるよう、加熱方法を工夫することが求められます。
母材間の熱的性質の違いへの対策だけでなく、作業者の安全性を確保するための対策も重要です。亜鉛が含まれるガスを吸い込みすぎないよう、換気や保護対策を徹底しましょう。
それぞれの注意点について、詳しく解説します。
ロウ材の濡れ性を高めるために均一に加熱する
銅と真鍮のロウ付けの精度や強度を高めるには、ロウ材が均等に広がるよう、双方を均一に加熱することが大切です。
高い強度で銅と真鍮の二つの母材をくっつけるためには、接合部の温度がロウ材の融点以上になるよう加熱することが必要です。加熱ムラが生じると、ロウ材が部分的にしか流れず接合不良につながる可能性があります。
銅と真鍮は先述のとおり熱的特性が異なるので、双方の加熱時間や加熱温度を調整するなどの工夫が求められます。
作業中の換気と保護対策を徹底する
ロウ付けする際に真鍮を加熱すると有害なガスが発生するので、作業者の健康被害を防ぐための安全対策が必要です。
真鍮を加熱した際に発生するガスには、亜鉛が多く含まれています。亜鉛の毒性は低いものの、一定量以上を吸入すると発熱や悪寒のような症状が出る可能性があります。銅と真鍮のロウ付けをする現場には局所排気装置などを設置し、しっかりと換気をおこないましょう。
換気対策だけでなく、マスクを着用し、ガスを吸い込まないようにすることも大切です。

銅と真鍮のロウ付けを外部に依頼する際のポイント
銅と真鍮のロウ付けを外部に依頼する際は、以下の点を意識しておきましょう。
- 過去の実績を確認して業者を選定する
- 依頼前に製品の仕様を明確に伝える
ロウ付けが可能と謳う業者であれば、どこに依頼しても良いというわけではありません。銅と真鍮のロウ付けは難易度が高いため、高い技術力が求められます。同じ材質でロウ付けした実績がないか、ホームページなどで確認しましょう。ホームページに製作実績が記載されていない場合は、打ち合わせの際に直接業者に聞くことも大切です。
依頼前には、業者に製品の仕様を明確に伝えることも重要です。仕様が曖昧な状態で依頼すると、依頼者と業者の間で認識のズレが生じ、意図した製品が納品されない恐れがあります。業者へ依頼する際は、打ち合わせをしっかりとおこない、双方で仕様の認識を擦り合わせておきましょう。

銅と真鍮のロウ付けは小池製作所にお任せください
銅と真鍮のロウ付けは、同じ素材同士での作業よりも難易度が高く、専門的な知識や豊富な経験が求められます。外部に製作を依頼する際は、過去の実績などをよく確認し、信頼できる業者へ相談しましょう。
小池製作所では、銅と真鍮など、異種金属のロウ付けを承っております。過去にも多数の異種金属の接合実績があり、豊富な経験をもとに高精度なロウ付けを提供いたします。
異種金属の接合に関するお悩みや実際のお見積りなどは、以下フォームよりお気軽にご相談ください。
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