アルミダイキャストへの溶接の難しさとは?難易度の高い技術を要するご依頼はお任せください!
アルミダイキャストへの溶接を解説!
アルミダイキャストへの溶接は、さまざまな分野の部品に使用されている技術です。
代表的な分野として、以下のようなものが挙げられます。
- 自動車:エンジン・トランスミッション
- 家電製品:洗濯機・冷蔵庫
- OA機器:パソコン・コピー機
アルミダイキャスト法は、溶融(※熱が加わり液体になること)した金属を高い圧力で金型に流し込み、冷やすことで形を作る鋳造法の一種です。高い圧力をかけて加工することから、通常の鋳造よりも寸法精度が良かったり、複雑形状を作製できたりする特徴があります。
そのように広く普及している鋳物ですが、一般的にアルミダイキャストの溶接は容易ではなく、高度なスキルと経験が必要です。
本コラムではアルミダイキャストの溶接が難しい理由を解説いたしますので、アルミダイキャストの溶接について理解を深めたい方は、本コラムをご一読ください。
アルミダイキャストへの溶接が難しいワケ
アルミダイキャストへの溶接が難しい理由には、以下の3つが挙げられます。
- 融点が低い
- 鋳巣が発生しやすい
- 肉厚が均一でない
アルミという素材自体の性質と、ダイキャスト法と呼ばれる技法に特有の製造方法から、高いスキルと実績がない作業者でない限り、アルミダイキャストの溶接で不良が生じる可能性が高いでしょう。
アルミダイキャストの溶接が困難な理由について、以下で詳しく解説します。アルミダイキャストへの溶接を検討されている方は、依頼先の選定の参考にしてください。
アルミは融点が低く溶接しにくい
アルミ自体の融点が低いことが、アルミダイキャストへの溶接が難しい理由の一つとして挙げられます。
アルミの融点は約660℃です。アルミと同じく広く使用されているステンレス鋼の融点が約1400℃であることを踏まえると、非常に融点が低い材料といえます。融点が低いアルミを母材として溶接に使用した場合は、接合したい場所以外の母材が溶けてしまう恐れがあります。加えて、十分な接合強度が得られない場合があります。
また、アルミダイキャストは不純物が多く、通常のアルミより融点が低下している点にも注意が必要です。
ダイキャストは鋳巣が発生しやすい
鋳巣(ちゅうす)が発生しやすい点も、アルミダイキャストへの溶接が難しい理由です。
上述したとおり、アルミダイキャスト法では溶かした金属を金型に流し込みます。高温の金属を流し込むため、気泡が発生しやすくなります。発生した気泡が金属内部に残ったまま冷却されると、その部分は空洞になります。この空洞が鋳巣と呼ばれるもので、鋳巣は溶接した際に大きくなってしまうため、ひび割れの原因になります。
アルミダイキャストの不良を抑制するには、鋳巣の発生を防止することが必要です。鋳巣を発生させないための方法として、金型内部を真空にする真空ダイキャストや、酸素を送り込むことで気泡とアルミを反応させる無孔性ダイキャストなどの方法があります。
アルミダイキャストは肉厚が均一でない
アルミダイキャストはそもそも肉厚が均一ではないという性質があるため、溶接不良が生じやすいです。
厚みの異なる材料を溶接する際は、肉厚に応じて速度を調整する必要があります。厚みのある部分ではゆっくりと溶接して材料を十分溶かしますが、薄い部分では溶けすぎないように速く接合することが求められます。速度調整が不十分の場合、溶融不良で接合強度が低くなってしまうため、注意が必要です。
アルミダイキャストの接合が可能な溶接方法の種類と注意点
ここでは、アルミダイキャストの接合が可能な溶接の種類と注意点について解説します。
溶接には、さまざまな種類があることはご存知でしょうか。主な溶接の種類は「融接」「ろう接」「圧接」の3つです。
いずれの方法にもメリット・デメリットがあります。適さない方法で溶接した場合、溶接不良が生じてしまう恐れがあるため、自身が取り扱うアルミダイキャスト製品の用途や目的に合わせた接合方法を選択しましょう。
以下では、3種類の方法の特徴や注意点を詳しく解説します。アルミダイキャストの溶接で、どの種類を選択すべきか悩んでいる方は、ぜひご一読ください。
アルミダイキャストの接合方法①融接
融接とは、母材や溶加材(接着剤の役割を果たす金属)を加熱して溶かし、混ざり合わせることで接合する溶接加工の一種です。融接にもさまざまな種類がありますが、アーク溶接やレーザー溶接といったものが代表例としてあります。
融接は、製品形状や肉厚の大きさにかかわらず加工しやすいという特徴があります。溶融した母材同士を混ぜて接合するため、強度が高いこともメリットであるといえます。
ただし、融接は母材を高温で加熱する方法であり、材料の性質が変化したり、歪みや変形が生じやすかったりするというデメリットがあります。高い寸法精度が必要なアルミダイキャスト部品の場合は、融接の使用を避けましょう。
アルミダイキャストの接合方法②圧接
圧接は、摩擦・爆発・電熱などにより母材を加熱しながら圧力を加えることで接合する技術です。融接よりは劣りますが接合強度自体は高く、加工コストが比較的安価であることが特徴として挙げられます。代表的な圧接としては、スポット溶接や摩擦圧接があります。
圧接の主な用途は、土木・建設における鉄筋の接合です。高い強度で接合できる方法であり、鉄筋を伸長する目的で応用されています。
ただし、雨や雪といった悪天候時に作業できないという点には注意してください。外での作業時には、天候を考慮する必要があることを覚えておく必要があります。
アルミダイキャストの接合方法③ろう接
ろう接は、母材よりも融点の低いろうと呼ばれる金属を使って接合する方法です。接合部にろうを流し込むことで、母材同士を接着します。ろう接時の温度は低いため、母材の変形や歪みが生じにくいことや、複雑形状や異種材料の接合が容易であるというメリットがあります。
アルミダイキャストの接合に高い寸法精度が求められる場合は、このろう接という方法が適しているでしょう。ただし、ろう接の接合強度は融接や圧接に比べると劣っているため、アルミダイキャストの接合に高い強度が求められる際には、ろう接以外の方法を検討しましょう。
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