ステンレスと真鍮のロウ付けは難しい?具体的な方法や注意点を解説

ステンレスと真鍮のロウ付けが難しい3つの理由

ステンレスと真鍮のロウ付けが難しい理由には、主に以下の3つがあります。

  • 熱膨張率や熱伝導率が違う
  • ステンレス・真鍮は酸化被膜を形成しやすい
  • 高い技術が求められる

ステンレスと真鍮の接合には溶接は適していないため、ロウ付けを採用するのが一般的です。ですがその場合も、高い技術力や豊富な経験がなければ難しいです。
また、各素材の酸化被膜の影響も、難易度を高める理由の一つとなっています。
以下では、上記のステンレスと真鍮のロウ付けが難しい理由を詳しく解説します。

熱膨張率や熱伝導率の違い

ステンレスと真鍮は、双方の熱膨張率や熱伝導率の違いによってロウ付けが難しいです。
熱膨張率が違うと、加熱時や冷却時にステンレスと真鍮がそれぞれ異なる速度で伸縮し、接合部に応力が生じます。応力が大きいと、接合部に亀裂が入りやすくなってしまいます。
また、真鍮は熱伝導率が高く、熱が周囲に拡散しやすいため、熱伝導率の低いステンレスと比較して均一な加熱が難しくなります。加熱が不均一だと、素材が適切に溶解・浸透せず、接合部の強度が低下する可能性があります。

酸化被膜が発生しやすい

真鍮やステンレスに発生する酸化被膜も、ロウ付けが難しい理由の一つです。この酸化被膜は硬く、ロウ材が母材と母材の間に浸透しにくくなります。
真鍮は銅を含むため、銅が酸素と反応して酸化被膜が形成されやすいという特徴があります。ステンレスのクロムを含む酸化被膜は非常に安定しており、母材表面への行きわたりやすさを低下させます。
母材の表面にしっかり行きわたらせるには酸化被膜を除去する必要がありますが、均一にきちんと除去できていないと、ロウ付けをしても気泡や隙間が発生しやすくなってしまいます。

この二つの金属をロウ付けするには、酸化被膜の生成を抑えたり、適切に除去したりする技術が必要です。これらの対策は技術的に高度であり、対応できる業者が限られています。

高い技術が求められる

真鍮とステンレスの接合にはロウ付けが用いられることが多いですが、ロウ付けには高い技術が求められます。ロウ付けであっても酸化皮膜は接合強度に大きく影響を与えるため、適切な除去をおこなう必要があります。

また、真鍮とステンレスのロウ付けには銀ロウが用いられるのが一般的ですが、使用目的などに応じて適切な素材を見極める力も必要です。十分な対策を取らず、知識や技術力がないまま作業をすると、使用環境に耐えられるだけの接合ができないなどの接合不良につながります。

真鍮とステンレスのロウ付けの経験が豊富にあり、高い技術力を持つ業者に相談することで、強度が高く美しい仕上がりを求めることが可能です。

小池製作所では、65年以上にわたる金属加工の実績と経験があります。ステンレスと真鍮のロウ付けなどの高い技術が求められる加工は、小池製作所にお任せください。

ステンレスと真鍮のロウ付けをする方法と注意点

ステンレスと真鍮をロウ付けする際は、以下の処理をおこなうことが大切です。

  • 接合箇所をよく磨く
  • フラックスを塗る
  • 真鍮とステンレスを温める
  • 冷やしてから仕上げる

高強度でステンレスと真鍮を接合するためには、ロウ付け前に必ず表面の酸化被膜を除去しましょう。接合するときにも酸化を防止したり、ゆっくり冷やしたりすることで、接合不良が生じる可能性を低くできます。
以下からはステンレスと真鍮のロウ付けをする方法と注意点を詳しく解説します。

接合個所をよく磨く

ステンレスと真鍮をロウ付けする際は、表面の酸化被膜を除去するために接合箇所を十分に磨くことが大切です。接合する材料表面に酸化被膜や汚れが残っていると、ロウ材を均一に塗れません。塗布にムラができてしまうと、しっかりと接合できない恐れがあります。
接合不良を防ぐためにも、事前に接合したい箇所をよく磨きましょう。材料表面をしっかりと磨くことで、密着性が向上し、母材同士を強固に接合できます

酸化被膜の除去方法としては物理的な研磨以外の方法もあります。ロウ付けをする製品の形状や使用目的などに応じて、適切な除去方法を選ぶことも大切です。

フラックスを塗る

ロウ付けをする箇所にフラックスを塗ることも、ステンレスと真鍮のロウ付けで重要な手順です。フラックスとは、金属表面の酸化被膜を除去したり、接合中の酸化を防止したりできる薬品です。ホウ酸やフッ化物などの薬品が使用されることが一般的です。使用するロウ材や母材の種類によって、適したフラックスの種類が異なる点に注意しましょう。
フラックスは酸化防止だけでなく、ロウ材の流動性も向上させられます。事前に接合面に塗ることで、母材同士の接合をより強固なものにできるでしょう。

真鍮とステンレスを温める

ロウ付けの際には、真鍮を温めてからステンレスを加熱するという順番も大切です。ステンレスを長時間加熱すると、黒ずんで酸化被膜が形成されやすくなります。酸化被膜が形成されたステンレスのロウ付けは困難であるため、ステンレスの加熱時間はなるべく短くすることが大切です。

ステンレスを加熱するタイミングは、温めた真鍮が赤みがかったときが適切です。母材同士が温まったら、すぐにロウ材を接合部に当てましょう。接合箇所に均一に流れ込むようにすることで、母材同士をしっかりと接合できます。

冷やしてから仕上げる

ロウ付けしたあとは、接合部をしっかりと冷やしてからフラックスを削り、仕上げていきます。フラックスが表面に残ると、ステンレスの錆の原因にもなるため、水やぬるま湯などで洗い流すことも効果的です。
フラックスだけでなく接合部を磨いたり、余分な素材を削ったりする工程も大切です。丁寧に作業することで、外観が美しくなるだけでなく、高強度に仕上げられます

ただし、接合部を急激に冷やすと歪みや反りが生じ、最終的に割れにつながる恐れもあるため、注意が必要です。冷やす際は水などを使用せず、自然に冷却させましょう

難しいなら専門業者に相談するのもおすすめ

ステンレスと真鍮のロウ付けを自社で対応できない場合は、専門業者への相談がおすすめです。専門業者への相談を推奨する理由としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 真鍮はロウ付けが難しい材料である
  • 外注のほうがコストカットできる可能性がある

真鍮は切断や折り曲げなどの加工を比較的容易にできますが、接合には高い技術が必要な材料です。自社で真鍮のロウ付けの経験・ノウハウがない場合は、一から技術を学んだりスタッフを育成したりするより、実績が豊富な業者への依頼を検討したほうがよいでしょう。

小池製作所は、ロウ付けの実績が豊富にある金属加工会社です。ロウ付けは金属加工会社であればどこでも依頼できるという技術ではなく、高い技術と専門的な知識が求められます。他社で断られた加工であっても小池製作所であれば対応可能なケースも多いので、どのようなケースでもまずはお気軽にご相談ください。

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小池製作所ならステンレスと真鍮のロウ付けをお任せできる

ステンレスと真鍮の溶接は難しく、ロウ付けを採用するケースが多いです。しかし、この場合もステンレスや真鍮の特性などから高い技術力や経験が求められます。
小池製作所には、難易度の高いロウ付けの実績が多数あります。ロウ付けは金属加工のなかでも難しい方法ですが、経験と知識が豊富な社員が真摯に取り組みます。難しい金属加工に関するお悩みは、ベテランから若手へ技術を継承し続け、安定して高品質な納品物をお届けする小池製作所へぜひご相談ください。

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