SUS(ステンレス鋼)の 裏波溶接はどんな技術?メリットや加工時の注意点

SUS(ステンレス鋼)の裏波溶接とは?

SUS(ステンレス鋼)の裏波溶接とは、接合部の裏側に波状のビードを形成する技術です。トーチが内側へ入らないようなものにも、外側からの溶接をおこなうことでビードを出せます。通常のSUS(ステンレス鋼)の接合では裏面にビードが形成されにくく、液だまりや異物混入のリスクが高まります。
裏波溶接なら裏面まで均一な仕上がりになるため、液だまりや異物混入などを防ぐことが可能で、SUS(ステンレス鋼)を使用した配管やタンクの製造工程で特に重視されます。

SUS(ステンレス鋼)の裏波溶接のメリット

SUS(ステンレス鋼)に裏波溶接を用いるメリットは、おもに以下の3点です。

  • 液だまりや異物混入を防ぎやすい
  • 強度を高められる
  • 見た目が美しく仕上がる

高い密封性が求められるシーンや、接合部分の強度を高めたいときに裏波溶接が使われることが多いです。また、なめらかで均一に仕上がるという特性から見た目の美しさが求められるシーンで取り入れられることもあります。

SUS(ステンレス鋼)における裏波溶接のそれぞれのメリットを詳しく見てみましょう。

液だまりや異物混入を防ぎやすい

SUS(ステンレス鋼)に裏波溶接を用いると、内部での液だまりや異物混入を防ぎやすくなります。
配管やタンクなどは内側に液だまりができやすく、液体がうまく流れないなどのトラブルにつながります。また、接合した部分に隙間があると異物混入の原因になり、衛生面の問題に発展するケースもあります。
裏波溶接はこれらの問題を解決してくれるため、医療や食品などの分野で用いられることも多いです。高温や低温にさらされる環境でも熱膨張の影響を抑える効果があり、SUS(ステンレス鋼)の耐腐食性を高めてくれるというメリットもあります。

強度を高められる

SUS(ステンレス鋼)の裏波溶接では、裏面にもしっかりビードが形成されるため接合箇所の強度を高められる点もメリットです。接合した部分のつなぎ目がなくなり一体化するため、純粋に強度を高められるだけでなく圧力や負荷にも耐えられるようになります。

裏波溶接は「完全溶込み突合せ溶接」とも呼ばれており、完全溶込み部分は母材と同等の耐力を維持できます。配管のほか構造物など、強い負荷が長期間かかり続けるような箇所に使うSUS(ステンレス鋼)には、この接合方法を用いるのが最適です。

見た目が美しく仕上がる

SUS(ステンレス鋼)で裏波溶接を用いると、見た目にも美しい仕上がりになる点もメリットです。なめらかで均一なビードを作れるため、外観の良さが求められる製品に用いられることも多いです。仕上げの研磨もおこないやすく、研磨後は一層美しい仕上がりになるでしょう。
ただし、加工時に凹凸が残ると見た目は悪くなってしまいます。高い技術を持つ職人が対応してこそ、裏波溶接の美しさが発揮されます。

小池製作所には、SUS(ステンレス鋼)の裏波溶接を始め豊富な経験と高い精度が求められる金属加工を多数おこなってきた実績があります。
安心して依頼できる会社を探している企業様や社内で対応できないSUS(ステンレス鋼)の接合にお悩みの企業様は、大田区で60年以上ものづくりに真摯に取り組んできた小池製作所にご相談ください。

SUS(ステンレス鋼)の裏波溶接のコツ

SUS(ステンレス鋼)の裏波溶接をおこなう際に意識したい、成功のコツを解説します。
裏波溶接は、うまくできれば強度が高く異物混入や液だまりを防げて、見た目も美しく仕上がる技術です。ですが、そのように仕上げるには技術と経験が必要です。
以下の点を意識したうえで、SUS(ステンレス鋼)の接合作業に取り組んでみましょう。

  • 凹凸が出ないようにする
  • 溶け残りがないか確認する
  • 途切れがないようにする

一つずつ詳しく解説します。

凹凸が出ないようにする

SUS(ステンレス鋼)に裏波溶接をおこなう際は、凹凸が出ないように注意しましょう。
接合時に凹凸が残ってしまうと、裏波溶接のメリットである液だまりや異物混入などの防止効果が弱まってしまいます。電流やトーチの角度を細かく調整し、なめらかなビードに仕上がるよう細心の注意が必要です。
板厚が薄い板やパイプなどのSUS(ステンレス鋼)に裏波溶接をする際は熱による歪みも発生しやすいため、歪みを抑えながら作業を進める必要もあります。

溶け残りがないか確認する

SUS(ステンレス鋼)に裏波溶接をする際は溶け残りがないか確認することも大切です。溶け残りがあると、接合部分の強度が弱くなったり、異物が混入しやすくなったりします。
溶け残りが出てしまう原因は複数ありますが、熱の不足やアークが不安定だったことなどが考えられます。

作業中だけでなく作業後も、ビードがきちんと形成されているか接合部分をよく確認しましょう。目視で判断できない場合は、電流などを用いて詳しく確認することも大切です。

途切れがないようにする

SUS(ステンレス鋼)の裏波溶接では全周がきちんとつながっているかを確認しましょう。途切れがあると、液だまりや異物混入などの原因になり、接合部分の強度も弱まります。裏波溶接のメリットを得られなくなるため、途切れには特に注意を払いましょう。

SUS(ステンレス鋼)の裏波溶接で途切れが出てしまう原因としては、電流や速度が適切でないことが考えられます。電流が高すぎたり低すぎたり、速度が早すぎたり遅すぎたりしても途切れが発生しやすくなるため、適切に調整することが大切です。

SUS(ステンレス鋼)の裏波溶接にはTIG溶接がおすすめ

SUS(ステンレス鋼)の裏波溶接には、TIG溶接がおすすめです。TIG溶接はタングステンを電極に用いる接合方法で、SUS(ステンレス鋼)を始めさまざまな金属の接合に適しています。
複雑で細かい形にも対応しやすく、裏波溶接も特に美しい仕上がりを目指せます。

一方でTIG溶接には時間がかかるため、一気に大量の金属を加工したいときには不向きです。量よりも質を重視する場面では、TIG溶接がそのメリットを最大限に発揮してくれるでしょう。

ここまで裏波溶接のコツやおすすめの方法をご紹介しましたが、それでも上手くいかず失敗してしまう場合は、小池製作所へご相談ください!

SUS 裏波溶接 小池製作所の看板の写真

SUS(ステンレス鋼)の裏波溶接なら小池製作所に相談

SUS(ステンレス鋼)の裏波溶接など、高度な技術が必要な金属加工は、豊富な実績を持つ製作所に相談することが大切です。

小池製作所には、高い衛生基準や耐久性が求められる分野での金属加工の実績が多数あります。特に、裏波溶接においては金属加工のエキスパートである職人が長年の経験と熟練の技術を活かし、高精度で美しい仕上がりを実現いたします。
「SUSの裏波溶接に適した業者に依頼したい」「加工技術に関する相談をしたい」という方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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