ステンレス角パイプの溶接の難易度が高い理由とは?5つの方法と注意点を解説

溶接作業 ステンレス

ステンレス角パイプの溶接の難易度が高い理由

ステンレス角パイプ溶接は、他の金属と比較して高い技術力が求められます。

その主な理由の一つは、ステンレス素材が熱に敏感であり、作業時の温度管理が極めて重要である点です。ステンレスは加工後の熱処理によっても性質が変化しやすく、 強度や耐食性に影響が出ることもあるため、慎重な作業が求められます。
とくに角パイプの場合、部分的に熱の集中が起こりやすく、部材がゆがみ、形状の精度が落ちるリスクも高いです。

また、角部の厚みや形状によっては、溶け込み不良や歪みの発生も起こりやすく、 作業条件の設定にも高度な知識と経験が求められます。

これらの要因が重なることで、ステンレス角パイプ溶接は、通常のステンレスの加工以上に難易度が高くなっています。品質と精度を保つためには、適切な方法の選定と事前の準備が必要です。

ステンレス 角パイプ 溶接 イメージ

▲ステンレスの溶接品

ステンレス角パイプ溶接に適した5つの方法

ステンレス角パイプ溶接には、用途や精度に応じた適切な手法の選定が重要です。ここでは、代表的な以下の5つの方法をご紹介します。

  • TIG溶接
    仕上がりの美しさと精度の高さが特徴で、薄板や高品質が求められる現場に適しています。
  • MIG溶接
    作業スピードに優れ量産に向いており、効率重視の現場で活用されています。
  • MAG溶接
    主に炭酸ガスを使用するためコストが抑えられ、適切な条件下では高い接合強度を得ることが可能です。
  • 被覆アーク溶接
    設備が簡易で現場対応しやすく、補修や少量生産向きですが、作業者の技術に左右されやすい点に注意です。
  • レーザー溶接
    熱影響が少なく歪みを抑えやすいため、精密な部品や異種材料の接合にも適しています。

それぞれの溶接の特徴と、ステンレス角パイプにどのように適しているのかを詳しくみてみましょう。

TIG溶接

TIG溶接は、ステンレス角パイプの接合に適した方法のひとつです。不活性ガス(主にアルゴン)でシールドしながら非消耗性のタングステン電極を用いるため、酸化を防ぎ、高精度で美しい仕上がりが得られます。

熱のコントロールがしやすく、とくに薄肉のステンレス角パイプでも歪みを最小限に抑えられるため、外観重視の製品に最適です。

ただし、作業の速度は遅めで、作業者の技術によって品質に差が出やすいため、経験豊富な技術者による作業が望まれます。

MIG溶接

MIG溶接は、金属製のワイヤを連続的に供給しながら接合をおこなう方法で、高い作業スピードと溶接の効率が特徴です。ステンレス角パイプの量産を目的とした加工では、生産性とコストパフォーマンスを両立できるため、よく採用されています。

一方で、TIG溶接に比べるとスパッタ(作業時の飛散物)が多く、仕上がりの美しさではやや劣ります。そのため、外観品質が重視されるステンレス角パイプの接合にはあまり適していません。また、風の影響を受けやすく、屋外や通気性の悪い環境ではシールドガスの管理に注意が必要です。

MAG溶接

MAG溶接は、炭酸ガスの混合ガスを用いた半自動溶接で、鉄や一般鋼に対して高い強度を得られる点が特徴です。MIG溶接と似ていますが、アークが強く深い溶け込みが得られるため、構造用鋼材などに多く用いられます。

しかし、MAG溶接はTIG溶接と比べるとスパッタが発生しやすく、TIG溶接よりはステンレスの耐食性や外観を損なう可能性があります。熱影響による変形や歪みも起こりやすく、ステンレス角パイプの高い寸法精度や美しい仕上がりが求められる場面には注意が必要です。

被覆アーク溶接

被覆アーク溶接は、特別なシールドガスを必要としない手動溶接法で、屋外や通気の悪い現場でも使用しやすい点が特徴です。ステンレス角パイプの接合にも対応可能で、同材質の溶接棒を使うことで強固な接合が得られます。

一方で、スラグ除去や仕上げ研磨などの後処理が必要で、作業効率は高くありません。また、手作業に依存するため、仕上がりは作業者の技量に左右されやすい傾向があります。
少量のステンレス角パイプの溶接や補修作業など、柔軟性を求められる場面に適していますが、大量生産や美観重視の用途には不向きです。

レーザー溶接

レーザー溶接は、高エネルギー密度のレーザービームで材料を精密に接合する先進的な技術です。熱影響が非常に小さいため、ステンレス角パイプに対しても歪みの少ない高精度な仕上がりにすることが可能です。

薄肉材や複雑形状の製品への溶接にも適しており、異種金属の接合にも対応できる柔軟性があります。そのため、精密さが求められるステンレス角パイプの溶接にも最適です。

一方で、レーザー溶接は設備コストが高く、対象の精密な位置決めや高度な加工精度が必要です。
少量で高精度が求められるステンレス角パイプ製品の溶接には適した方法といえるので、加工会社とよく相談しながら最適な方法かを検討するといいでしょう。

ステンレス角パイプの溶接時の注意点

ステンレス角パイプの溶接をおこなう際には、いくつかの重要な注意点があります。

まず、作業中の熱の入りすぎに注意が必要です。過剰な熱はステンレス角パイプの歪みや変形を引き起こしやすく、角パイプの形状を保つためには適切な熱制御が求められます。

また、作業後の仕上げ工程も重要です。ステンレスは見た目の美しさや耐食性の高さなどが重視されることも多いため、表面の酸化皮膜やスパッタの除去、バフ研磨などの後処理が、最終的な品質に大きく影響します。

小池製作所では、ステンレス角パイプの接合において経験豊富なエンジニアが適切な加工方法を提案、実施しています。接合後の仕上げもおこない、お客様のご要望どおりのクオリティで納品することが可能です。
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ステンレス角パイプ溶接 小池製作所の様子

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ステンレス角パイプは、素材の特性や角パイプの形状などの問題から、接合の難易度は非常に高いです。溶接方法も多数あり、使用用途や形状などに応じて適切に使い分ける必要があります。
ステンレス角パイプの溶接を依頼する際は、実績が豊富な技術者が多い加工会社を選ぶだけでなく、その加工会社がどのような設備を所持しているか確認することも大切です。

小池製作所では、本記事で紹介した溶接方法に対応しています。ステンレス角パイプのような難易度の高い製品の接合も、資格を所持した熟練の技術者が対応いたします。
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