ロウ付けで肉盛り補修は可能?メリットや溶接加工との違いを解説

ロウ付け 肉盛り 作業の様子

ロウ付けで肉盛り加工はできる!

ロウ付けは、接合だけでなく肉盛り加工にも応用できる技術です。通常のロウ付けでは金属同士を接合する用途が中心ですが、適切なロウ材を選定し、加工条件を整えることで、摩耗や欠損部分の補修などを目的とした肉盛りも可能です。

肉盛りは溶接が採用されるのが一般的ですが、母材へのダメージを抑えたい、なだらかな表面に仕上げたいなどの場合、ロウ付けを用いることもあります。ただしロウ材特有の流れやすさや温度管理の難しさなどを意識する必要があり、高い技術力が求められます。

また、一部分のみに厚みを出したい場合は溶接のほうが適しているため、どのように仕上げたいかによって適切な方法を採用することが大切です。

ロウ付けで肉盛り加工をするメリット

ロウ付けによる肉盛り加工には、他の方法にはないさまざまなメリットがあります。まず、ロウ付けはロウ材を溶かして接合する方法のため、母材への熱影響を最小限に抑えながら肉盛りが可能です。

さらに、ロウ材は流動性に優れており、凹凸のある面にも均一に広がりやすいため、滑らかでムラのない仕上がりを実現しやすくなります。見た目の美しさだけでなく、機能的にも優れた再生加工が可能です。

加えて、融点の低い金属にも対応しやすい点もロウ付けの大きな強みです。アルミや銅などの融点が低い金属でも肉盛りをしやすくなり、部品の再利用や寿命延長に役立ちます。

ロウ付けで肉盛り加工をおこなうメリットを、詳しく見てみましょう。

滑らかでムラのない仕上がりにしやすい

ロウ付けによる肉盛り加工は、仕上がりの美しさにおいて大きなメリットがあります。ロウ材は母材の表面に沿って均一に広がる性質を持っているため、凹凸のある部位にも自然になじみます。

この特性により、肉盛り後の表面は滑らかでムラが少なく、追加の仕上げ作業が最小限で済むことが多いです。とくに、見た目や寸法精度が重要となる部品の補修においては、この滑らかさが製品全体の品質向上につながります。

均一で安定した仕上がりを重視する場合、ロウ付けは有効な加工手段といえるでしょう。

母材への影響を抑えて肉盛りができる

ロウ付けは溶接と比べると比較的低温でおこなう加工法であるため、母材への影響を抑えて肉盛りができます。精密部品や熱に弱い素材を扱う場面では、とくに大きなメリットです。母材の寸法や機械的性質の変化を抑えて肉盛りができるため、全体の性能を維持したまま部分的な再生が可能になります。

たとえば摩耗した軸や擦れた接触面などでも、母材を傷めずに補修できれば、必要な厚みを確保できるでしょう。

母材への影響を最小限に留めながら、強度と精度を保った肉盛り加工ができる点は、ロウ付けの大きな魅力です。

融点の低い金属でも肉盛りしやすい

ロウ付けは比較的低温でおこなえる接合技術で、融点の低い金属への肉盛り加工にも適しています。たとえば、アルミニウムや銅といった融点の低い金属は、通常の溶接では母材が変形したり溶けたりしてしまうリスクがありますが、ロウ付けであればそうした問題を回避しやすくなります。

融点の低い金属であってもロウ付けならば、精密な補修や肉盛りが可能となり、部品の再利用にも役立ちます。

とくに融点の低い金属に対してロウ付けによる肉盛りをおこなう際は、銀ロウなどロウ材のなかでも融点が低いものを選ぶことも大切です。

小池製作所では、高い技術や豊富な経験が求められるロウ付けによる肉盛りのご依頼をお受けしています。自社で対応するのは難しい、他社に相談して断られてしまったなどのお悩みは、ぜひ小池製作所へご相談ください。

ロウ付けで肉盛り加工をする際の注意点

ロウ付けによる肉盛り加工は多くの利点がありますが、加工時にはいくつかの注意点も存在します。まず、ロウ材は非常に流動性が高いため、意図した形状や厚みを正確に再現するには工夫が必要です。とくに局所的に厚みを持たせたい場合は、仕上がりにバラつきが出やすくなります。

また、複数回に分けて肉盛りをおこなう場合には、再加熱による変形やロウ材の再溶融による影響も考慮しなければなりません。温度や手順の知識が不十分だと、せっかくの補修が逆に精度不良を招くリスクもあります。

ここでは、ロウ付けで肉盛りをおこなう際に注意したい点を詳しく解説します。

一部分だけ厚みを出す肉盛りは難しい

ロウ材は流動性が高いため、広い範囲に均一に広がる特性があります。これは仕上がりの滑らかさという点ではメリットですが、逆に一部だけに集中して厚みを持たせたい場合には不向きです。補修材が思わぬ方向へ流れてしまい、狙った箇所にだけ肉盛りをおこなうのが難しいことがあります。

そのため、局所的な補修や形状の修正を目的とした肉盛り加工では、ロウ付けよりも溶接のほうが適している可能性が高いです。ロウ付けを採用したい場合は、仕上がり後の加工や研磨を前提とした設計にしておくことで、必要な厚みや形状を確保しやすくなります。

ロウ付けによる肉盛りは、広範囲に均一な補修をおこなうには適していますが、細かい厚みのコントロールには限界があることを理解しておきましょう。

段階的に盛る際は再加熱での変形に注意する

ロウ付けによる肉盛り加工では、一度に十分な厚みを出せない場合、複数回に分けて段階的に加工する方法が取られることがあります。しかし、このような多層的な加工では、再加熱時にすでに盛った補修材が再び溶けたり、母材が熱影響を受けて変形したりするリスクが生じます。

とくに寸法精度が求められる部品や、熱に敏感な素材では、わずかな変形でも機能に大きな影響を与える可能性があります。そのため、加熱温度の管理や、冷却のタイミング、熱の伝わり方を考慮した手順設計が欠かせません。

また、各層の間で表面を整えずに作業を進めると、補修材が意図しない方向に流れやすくなり、仕上がりの精度にばらつきが出る恐れがあります。段階的な肉盛りをおこなう場合は、計画的かつ慎重に加工を進めましょう。

ロウ付け 肉盛り 小池製作所の画像

ロウ付けの肉盛り加工なら小池製作所にご相談ください

ロウ付けによる肉盛りは、表面を均一に整えやすい、熱影響を抑えて補修できるなどのメリットがある一方で、特定の場所にのみ厚みを持たせるなどの加工は難しい方法です。
また、ロウ付け自体が温度管理、ロウ材の選定などに豊富な知識と技術が求められるため、外部へ依頼する際は実績が豊富にある業者を利用しましょう。

小池製作所は、1957年の創業以来65年以上、金属加工と向き合い続けてきました。長年の活動のなかで培ってきた確かな技術力で、お客様のさまざまなご要望にお応えしています。

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