ステンレス溶接後の磨きと処理方法を徹底解説!酸洗いから電解研磨まで

ステンレスの溶接後に磨きの工程が必要な理由

ステンレスの溶接後には、磨きなどの適切な処理が必須です。

磨きなどの処理が必要な理由の一つは、腐食を防ぐためです。溶接焼けが表面に残ることで、ステンレスの耐食性が低下し、長期間使用すると腐食につながる可能性があります。溶接後に磨きなどの処理を施すことで、溶接焼けを取り除いて金属表面を滑らかにでき、耐食性を向上させることが可能です。
磨きの工程は、見た目の美しさも向上させます。ステンレス製品は外観が重視される製品も多いので、その場合は見た目の悪さをなくすためにも、溶接後の仕上げが求められることもあります。

小池製作所では、ステンレスの溶接後の表面処理が可能です。専門的な知識と豊富な経験を持つ社員が、使用用途に応じて磨きなど適切な処理をおこない、ステンレスの耐食性や見た目の良さを向上させます。
ステンレスの溶接後に重要な磨きなどの処理が必要な場合は、小池製作所にお任せください。

ステンレス溶接後の焼けを除去するのは表面研磨でいい?

ステンレスの溶接後の処理は、表面をブラシで磨くだけでは充分ではありません。
ブラシによる磨きは、表面の汚れや酸化物を取り除けますが、溶接時に形成される不動態皮膜が破壊される可能性があり、これが腐食を引き起こす原因になります

不動態皮膜はステンレスの耐食性を高める重要な役割を果たしており、これを保護するためには、不動態化処理が必要です。不動態化処理は、溶接後の表面に再び強固な酸化皮膜を形成させる作業です。これにより、ステンレスの耐食性が大幅に向上し、長期的に安定した品質を保てます。

ステンレスの溶接焼けを取り除くには表面磨きをするだけでは不十分であり、不動態化処理を組み合わせておこなうことが重要です。

ステンレスの溶接後の一般的な処理方法

ステンレスの溶接後には、磨きなどのさまざまな処理方法が存在し、各工程にはそれぞれに役割と目的があります。
一般的な処理方法は酸洗い、パッシベーション、電解研磨、バフ研磨などです。

  • 酸洗い・・・溶接後に発生した酸化スケールや不純物などを取り除くために用いられます。
  • パッシベーション・・・酸洗いとセットでおこなわれることが多く、ステンレスが本来持つ不動態皮膜を形成しなおし、より強固なものにする方法です。
  • 電解研磨・・・電解液を使用してステンレス表面の微小な凹凸や汚れを溶解する処理で、表面を均一で滑らかな表面に仕上げます。
  • バフ研磨・・・研磨剤を使用した回転バフで表面を滑らかに磨き仕上げる方法です。主に外観を重視する場合に用いられ、製品の美しさを高められます。

以下で、それぞれの方法を詳しく見ていきましょう。

酸洗い

酸洗いは、ステンレス溶接後に発生する酸化スケールや不純物などを除去し、耐食性を確保するためにおこなわれる処理です。
溶接の際にステンレス表面に形成される酸化膜やスラグ(溶接の際に発生する残留物)などは、耐食性を低下させる原因となります。酸洗いをおこなって不純物を取り除き、ステンレスの表面がきれいになれば、次の処理をスムーズに進めることが可能です。

酸洗いはパッシベーションと組み合わせておこなうことが一般的で、酸洗いで表面をきれいにした後、パッシベーションの工程へ進みます。

パッシベーション

パッシベーションは、溶接後のステンレスを処理液に浸し、表面に不動態皮膜を形成する処理です。パッシベーションによってステンレスの表面に不動態皮膜が形成されると、耐食性が高まります。
特に、酸洗いとセットでおこなわれることが一般的です。酸洗いによって酸化スケールや不純物などが取り除かれた後にパッシベーションを施すことで、より均一に不動態皮膜を形成できます。

パッシベーションの処理は製品表面にめっきなどの塗装をするわけではないので、製品自体の寸法の変化はほとんどありません。精密な設計が求められる製品や部品でも、用いることが可能です。

電解研磨

電解研磨は、ステンレスを電解液に浸し、電気化学反応を利用して表面の微小な凹凸や汚れなどを溶解して除去する化学的な方法です。
この方法は、ステンレス溶接後の微細な凹凸を平滑にするため、製品表面を滑らかに、かつ均一な仕上がりにできます。

物理的な研磨では難しい微細な傷や凹凸、汚れの除去や、物理的な磨き処理が難しい複雑な形状の製品などに用いられることもあります。電解研磨は、特に外観の美しさが求められる製品や複雑な溶接箇所の処理作業において、用いられることが多い選択肢です。

バフ研磨

バフ研磨は、研磨剤を塗布した回転バフを使用して、ステンレスの表面を滑らかに仕上げる磨き方です。バフには綿やウールなどの素材が使われることが多く、ホイール状の専用の機械で作業を進めます。
この磨き処理では、表面に残った微細な不純物や傷などを取り除き、さらに美観を大幅に向上させることが可能です。

また、この磨き処理により製品表面の凹凸が少なくなると、ステンレス表面に汚れが付着しにくくなり、衛生状態を保つ役割も果たしてくれます。この磨き工程は、ステンレスの他の処理方法と組み合わせて、仕上げの工程としておこなわれることが多いです。

ステンレス溶接後の処理の注意点

ステンレス溶接後の磨きなどの研磨処理には、いくつかの重要な注意点があります。

まず、酸洗いをする際には、ゴーグルや手袋などの保護具を必ず着用することが大切です。酸洗い液は強酸性であるため、肌や目に触れると危険です。作業後には十分な水洗いをおこない、酸洗い液や研磨材が残らないようにしましょう。

さらに、磨き作業における適切な研磨材、処理方法を選ぶことも重要です。研磨材や処理方法の選定を誤ると、表面に傷がつく可能性があります。

最後に、磨きは粉塵が発生しやすい作業であるため、粉塵対策をしっかりとおこなうことも必要です。磨きをかける作業工程で発生する粉塵には金属粉や化学物質を含むものがあり、これらを吸い込むことは健康に害を及ぼすリスクがあります。したがって、マスクの着用や換気装置の使用などの粉塵対策をおこない、作業者の健康も守りましょう。

ステンレス 溶接 磨き 作業の様子

ステンレス溶接後の磨き処理は小池製作所にお任せください

ステンレスの溶接後には、表面に焼けが残ります。この焼けをそのままにしておくと腐食しやすくなったり、見た目が悪くなったりするため、磨きなどの処理をする必要があります。
この処理にはさまざまな方法がありますが、溶接したステンレスの形状や使用用途などに応じて適切な処理をおこなうことが大切です。

小池製作所にはステンレスの加工実績が多数あり、設計から溶接はもちろん、表面処理、さらに組立まで対応しています。確かな実力と知識のある社員が一つひとつのご依頼に丁寧に応え、高品質の品物を納品いたします。

ステンレスの溶接後の磨きなどの処理について不安がある、表面処理まで一貫して任せたいとお考えの事業者様は、ぜひ一度小池製作所にご相談ください。

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